大阪の税理士事務所 レッツ総合事務所

「103万円の壁」が撤廃で負担増!?

2015.10.06

配偶者控除の見直し

専業主婦がいる世帯で夫の税負担を軽減する「配偶者控除」が2017年から見直されることになりそうです。

配偶者控除の基準である「103万円の壁」が新制度で取り払われることがほぼ確実で、さらに政府は社会保険料をめぐる「130万円の壁」の見直しに着手しています。

『経済財政運営と改革の基本方針2015』の中で、女性が働くことで世帯所得がなだらかに上昇するように税制・社会保障制度の在り方について見直しに向けて、具体化の検討を進めるとしています。

現在の制度では、妻の年収が103万円以下なら、夫の収入から配偶者控除38万円を差し引いて所得税を計算し、税負担を軽くする仕組みとなっています。

そのため103万円を年収の上限にして働く時間を調整する人が多く、「103万円の壁」とよばれています。これが、女性の就労を妨げる「壁」になっているという指摘があるのです。

けれども、103万円を超えると、手取りが減って損をするというわけではありません。

 

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「配偶者控除」は103万円を超えると「配偶者特別控除」に切り替わり、妻の年収141万円まで、年収に応じて段階的に夫の所得からの控除額が減る仕組みとなっており、収入の多い人の手取り額が収入の少ない人の手取り額を下回るという逆転現象が起きないようになっています。しかしながら、現実には心理的な壁は存在しているようです。

130万円の壁

また、妻の年収が130万円以上になると夫の扶養から外れ、妻自身が健康保険や公的年金の社会保険料を納付する必要が出てきます。それは、「130万円の壁」と言われ、収入が増えても手取りが減る逆転現象が発生することもあります。

配偶者控除を廃止しても年金や健康保険などの制約は残されており、配偶者控除の見直しは女性の社会進出につながらないといえます。

そこで、2016年10月から社会保険の適用要件が緩和されることになりました。

現行では週30時間以上の就業が加入要件でしたが、「週20時間以上の勤務」「月収8.8万円以上」に変更になります。

ただし、「1年以上の勤務期間が見込まれていて、企業規模501人以上の会社で働く場合」に限定され、中小企業は適用外となります。

新たに大企業のパート労働者向けに「106万円の壁」が生まれることになったが、政府は段階的に引き下げて130万円の壁を撤廃して、すべての国民に保険料を負担させることを検討しています。

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