大阪の税理士事務所 レッツ総合事務所

検証!海外渡航費の税務上の取り扱い

2015.10.05

先日、ある会社の税務調査において、役員を慰労するために役員3人で、ハワイにゴルフ旅行をした費用が、役員賞与と認定されました。

会社は福利厚生費として処理していたため、全額法人所得に加算され、さらに、3人のそれぞれの個人所得として、源泉所得税が課されることになります。

また別件にて「海外からオファーがあり、契約の下準備のため、観光を兼ねて渡航したいが経費で処理するためには、どのようにすればよいか」と問い合わせがありました。

原則的な考え方

海外渡航費は、旅費として損金算入する為には以下の2つの判断が決め手となります。

  1. その海外渡航が法人の業務の遂行上必要なもの
  2. その支給額が適正かどうか

業務の遂行上必要な海外渡航の判定

海外渡航が法人の業務の遂行上必要なものであるかどうかは、その旅行の目的、旅行先、旅行経路、旅行期間等を総合的に勘案して、実質的に判断します。

その海外渡航が業務の遂行上必要なものと認められる場合であっても、その海外旅行の期間中、観光地を回ったようなときは、業務の遂行上必要と認められる旅行期間と認められない旅行期間との比によって按分し、認められない旅行にかかる部分はその者に対する給与(賞与)となります。

ただし、その海外渡航が旅行期間のおおむね全期間を通じて明らかに法人の業務の遂行上必要と認められる場合には、休日等を利用して観光地等を回ったときでも、その全額が旅費として認められる場合があります。

海外旅行費支給額の適否の判定

海外渡航が法人の業務の遂行上必要なものと認められる場合であっても、その支給した海外渡航費が通常必要と認められる金額を超えているときは、その超える部分の金額は、その者に対する給与となります。

この場合の通常必要と認められる金額とは、その者がその業務を遂行するための海外旅行をする場合に、その海外旅行に必要な支出に充てるためのものとして通常必要と認められる金額をいうものとされています。

その旅行先における物価事情、旅行目的、旅行期間等から勘案してその支給額の適否を判定すべきと考えられます。

 

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