
不動産管理業を営む方にとって、会計処理や確定申告は大きな負担となっています。本記事では、クラウド会計ソフト「freee」を活用した不動産管理業務の効率化方法を徹底解説します。家賃収入の管理から物件ごとの収支分析、確定申告書類の自動作成まで、freeeの機能を最大限に活用するノウハウをご紹介。初期設定から実践的な活用法、節税対策まで網羅しているので、個人オーナーから不動産管理会社まで、業務効率化と収益向上を実現したい方必見の内容です。freeeを導入することで、不動産管理の煩雑な作業から解放され、本来の経営判断に集中できるようになります。
はじめに:不動産管理業者がfreeeを活用するメリット

不動産管理業は、物件管理、家賃収入の計上、修繕費の管理、確定申告など、多岐にわたる業務と複雑な経理処理が求められる業種です。特に確定申告の際には、不動産所得特有のルールに沿った処理が必要となり、手作業での管理は膨大な時間と労力を要します。こうした課題を解決するツールとして、クラウド会計ソフト「freee」が注目されています。
freeeを不動産管理業に導入することで得られる最大のメリットは、業務効率の大幅な向上です。家賃収入や経費の自動取り込み機能により、これまで手作業で行っていた入力作業が大幅に削減されます。また、バックオフィス業務の自動化により、本来の不動産管理業務に集中できる環境が整います。
次に挙げられるメリットは、正確な会計処理と税務申告のサポートです。不動産所得の計算は減価償却費の計上や修繕費と資本的支出の区分など、専門知識が必要な場面が多々あります。freeeではこれらの処理をガイドラインに沿って行えるため、税務上のミスを減らすことができます。
また、リアルタイムでの経営状況の把握も重要なメリットです。物件ごとの収支状況や全体の経営状態をダッシュボードで一目で確認できるため、迅速な意思決定が可能になります。収益性の低い物件の特定や、修繕計画の最適化など、データに基づいた経営判断ができるようになります。
税理士との連携強化もfreee活用の大きなメリットです。クラウド上で税理士とデータを共有できるため、確定申告時の資料作成の手間が省け、より専門的なアドバイスを受けやすくなります。特に複数の物件を所有するオーナーにとっては、この連携機能が業務負担の軽減に大きく貢献します。
さらに、書類のペーパーレス化と保管の安全性も見逃せません。請求書や領収書をスキャンしてアップロードすれば、クラウド上で安全に保管されます。税務調査の際にも必要な書類をすぐに提示できる体制が整います。
不動産管理業においては、物件ごとの収支管理が重要ですが、freeeでは物件をプロジェクトとして設定することで、それぞれの収益状況を個別に把握することが可能です。これにより、投資判断や家賃設定の見直しなど、より戦略的な物件運営ができるようになります。
最後に、スケーラビリティの高さもfreeeの利点です。個人オーナーから中規模の不動産管理会社まで、事業規模に合わせたプランを選択できます。物件数が増えても、システムの変更なしにスムーズに対応できるため、事業拡大を考えている方にも最適です。
以上のように、freeeは不動産管理業特有の課題を解決し、業務効率化と経営の可視化を実現する強力なツールです。次章では、freeeの基本機能と不動産管理業での具体的な活用ポイントについて詳しく解説していきます。
freeeの基本機能と不動産管理業での活用ポイント

不動産管理業を営む方にとって、会計業務や物件管理は大きな負担となりがちです。freeeを活用することで、これらの業務を効率化し、本来の不動産管理に集中できるようになります。ここではfreeeの基本的な機能と、不動産管理業においてどのように活用できるかを詳しく解説します。
クラウド会計ソフトfreeeの概要
freeeは、クラウド型の会計ソフトで、インターネット環境があればどこからでもアクセスできる便利なツールです。PCだけでなく、スマートフォンやタブレットからも利用できるため、物件の現地確認時にもリアルタイムで情報を入力・確認することが可能です。
freeeの最大の特徴は、銀行口座やクレジットカードと連携し、取引データを自動で取り込める点です。不動産管理業では家賃収入や管理費の入金、修繕費などの支出が定期的に発生しますが、これらを自動で取り込み、仕訳提案してくれるため、手入力の手間が大幅に削減されます。
また、レシートや請求書をスマホで撮影するだけで経費として記録できる機能も、現場で発生する修繕費などの管理に役立ちます。AIが内容を読み取って自動で科目を提案してくれるため、会計知識が少なくても正確な記帳が可能です。
不動産管理業に最適なプラン選び
freeeには複数のプランが用意されていますが、不動産管理業ではどのプランを選ぶべきでしょうか。基本的には管理する物件数や事業規模によって選択するプランが変わってきます。
個人で少数の物件を管理している場合は「スターター」プランでも十分かもしれませんが、物件数が増えてくると「スタンダード」以上のプランがおすすめです。これは取引数の制限や利用できる機能が異なるためです。
特に複数の物件を管理している場合は、「プレミアム」プランが適しています。プレミアムプランでは、プロジェクト管理機能を使って物件ごとの収支を細かく管理できるほか、自動で作成される収支レポートも詳細なものとなり、物件ごとの収益性を比較分析するのに役立ちます。
法人として不動産管理業を営んでいる場合は、「法人」向けのプランを選択しましょう。法人向けプランでは、消費税の計算や決算書の作成など、法人特有の会計処理に対応しています。
freeeで対応できる不動産管理業務の範囲
freeeは単なる会計ソフトではなく、不動産管理業の様々な業務をサポートする機能を備えています。
まず、家賃収入の管理については、毎月定期的に発生する家賃を「定期取引」として登録しておくことで、入金確認と仕訳作業を効率化できます。入金が確認できると自動で仕訳が作成され、未入金の物件も一目で把握できるようになります。
物件ごとの収支管理も、freeeの「プロジェクト」機能を活用することで実現可能です。各物件をプロジェクトとして設定し、そのプロジェクトに紐づけて収入と支出を記録していくことで、物件別の収益性を簡単に把握できます。
また、固定資産の管理機能を使えば、建物や設備の減価償却費を自動計算してくれるため、減価償却費の計上漏れを防ぐことができます。不動産管理業では減価償却費が経費の大きな部分を占めることが多いため、この機能は非常に重要です。
さらに、確定申告や消費税申告のための書類も自動作成されるため、税務処理の負担も軽減されます。青色申告特別控除の要件である複式簿記による記帳も、freeeを使えば自動的に対応できるため、最大65万円の控除を受けやすくなります。
請求書の作成・管理機能も充実しており、入居者や管理委託元への請求書発行も効率化できます。発行した請求書の支払い状況も一元管理できるため、滞納管理も容易になります。
不動産管理業特有の帳簿管理
不動産管理業では、一般的な事業と異なる特有の帳簿管理が必要になることがあります。例えば、敷金や保証金の管理、長期修繕計画に基づく修繕積立金の管理などです。
freeeでは、これらの特殊な勘定科目も自由に設定できるため、不動産管理業特有の会計処理にも対応可能です。また、勘定科目ごとの補助科目を設定することで、より詳細な管理も実現できます。
例えば、「預り金」という勘定科目に対して、「敷金」「保証金」「修繕積立金」などの補助科目を設定することで、種類別の預り金を正確に管理できます。これにより、退去時の精算や修繕計画の実行時にも混乱なく対応できるようになります。
不動産管理業務の効率化事例
実際に、freeeを導入した不動産管理業者からは、「月次の会計処理時間が3分の1になった」「物件ごとの収益性が明確になり、赤字物件の改善策を講じることができた」などの声が上がっています。
特に、銀行口座との連携により、従来は1日がかりだった家賃入金確認作業が数分で完了するようになったという事例や、スマートフォンで修繕費の領収書を撮影するだけで経費計上できるようになり、事務所に戻ってからの入力作業がなくなったという事例も多く報告されています。
freeeの導入により、会計業務の効率化だけでなく、経営状況の「見える化」が進み、より戦略的な物件運営が可能になるというメリットも大きいようです。データに基づいた意思決定ができるようになることで、長期的な資産価値の向上にもつながります。
freeeで簡単!不動産管理業の確定申告

不動産管理業を営む方々にとって、確定申告は避けて通れない重要な業務です。特に複数の物件を管理している場合、収支の把握や適切な経費計上が煩雑になりがちです。freeeを活用することで、これらの業務を効率化し、正確な申告を行うことが可能になります。
freeeは不動産所得に特化した機能を備えており、物件ごとの収支管理から確定申告書類の作成まで一貫して対応できます。ここでは、不動産管理業における確定申告の重要ポイントとfreeeの活用方法を詳しく解説します。
不動産所得の計上方法と注意点
不動産所得は、土地や建物などの不動産の貸付けによる所得です。freeeでは、この不動産所得を正確に計上するための専用の入力フォームが用意されています。
まず、不動産所得の計算方法を確認しましょう。基本的な計算式は「総収入金額 - 必要経費 = 不動産所得」となります。総収入金額には家賃収入や共益費、駐車場代などが含まれ、必要経費には管理費、修繕費、減価償却費、固定資産税などが含まれます。
freeeでは、これらの項目を物件ごとに区分して記録することができます。特に注意すべき点として、以下が挙げられます:
- 前受家賃の計上時期(受け取った年度に計上)
- 未収家賃の処理(実際に入金があった年度に計上)
- 敷金・礼金の区分(返還予定の敷金は収入に含めない)
- 一時的な収入(解約違約金など)の適切な計上
freeeでは、これらの処理を適切に行うための勘定科目が用意されており、専門知識がなくても正確な記帳が可能です。また、取引を登録する際に「不動産所得」というタグを付けることで、後から物件ごとの集計も容易になります。
確定申告書類の自動作成機能
不動産管理業の確定申告において、最も大きなメリットとなるのがfreeeの自動書類作成機能です。日々の取引を正しく入力しておくだけで、確定申告に必要な以下の書類が自動的に作成されます:
- 確定申告書B(第一表・第二表)
- 不動産収入・所得の内訳書(青色申告の場合は青色申告決算書)
- 収支内訳書(白色申告の場合)
- 減価償却費の計算書
freeeの強みは、取引データから自動的に上記書類を作成するだけでなく、記入漏れや計算ミスも防止できる点にあります。特に複数物件を管理している場合、物件ごとの内訳書も正確に作成されるため、手作業で行う場合に比べて大幅な時間短縮が可能です。
また、freeeは税制改正にも迅速に対応しています。不動産所得に関連する控除や特例が変更された場合でも、ソフトウェアが自動的にアップデートされるため、常に最新の税制に準拠した申告書を作成できます。
さらに、作成した申告書はe-Taxに直接連携することも可能です。マイナンバーカードとICカードリーダーがあれば、freeeから直接電子申告を行うことができ、税務署への提出手続きも簡略化できます。
青色申告特別控除を最大限活用するためのfreee設定
不動産管理業を営む個人事業主にとって、青色申告特別控除の活用は節税の大きなポイントです。freeeでは、この控除を最大限に受けるための機能が充実しています。
青色申告特別控除を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります:
- 複式簿記による記帳(65万円控除の場合)
- 貸借対照表および損益計算書の添付
- 期限内申告(確定申告期限内に提出)
- e-Taxによる電子申告または電子帳簿保存法に対応した帳簿作成(65万円控除の場合)
freeeでは、取引の入力時に自動的に複式簿記の仕訳が行われるため、専門知識がなくても上記条件を満たすことができます。特に、2020年分以降の確定申告では、65万円の控除を受けるためにe-Taxによる申告が条件となっていますが、freeeはこの電子申告にも対応しています。
さらに、freeeでは以下の設定を行うことで、青色申告特別控除を確実に受けられるようになります:
- 年度初めに「青色申告」を選択
- 不動産所得用の勘定科目を適切に設定
- 物件ごとに区分して記帳
- 固定資産の減価償却設定を正確に行う
- 日々の取引を定期的に記録
特に重要なのが、日々の取引記録です。freeeのモバイルアプリを使えば、家賃の入金や修繕費の支払いがあった際にすぐに記録することができ、リアルタイムでの帳簿管理が可能になります。
家賃収入の仕訳例
freeeでは、家賃収入を計上する際の仕訳も簡単です。例えば、テナントからの家賃100,000円が銀行口座に入金された場合、以下のような仕訳が自動的に作成されます:
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
普通預金 | 100,000円 | 不動産収入 | 100,000円 |
この際、取引に「物件A」などのタグを付けておくことで、後から物件ごとの収益を簡単に把握することができます。また、銀行口座との連携機能を使えば、入金情報を自動取得し、ワンクリックで仕訳を完了させることも可能です。
修繕費の計上と減価償却の設定
不動産管理業では、修繕費と資本的支出の区分も重要なポイントです。freeeでは、支出の性質に応じて適切な勘定科目を選択することで、税務上の処理を正確に行えます。
例えば、10万円未満の小規模な修繕は「修繕費」として全額経費計上できますが、大規模な改修や設備の新設は「資本的支出」として減価償却の対象となります。freeeでは、このような判断を支援するガイダンスが表示され、初心者でも適切な処理が可能です。
また、減価償却資産の登録も直感的なインターフェースで行えます。建物や設備ごとに取得価額、取得日、耐用年数を入力するだけで、毎年の減価償却費が自動計算され、確定申告書にも正確に反映されます。
不動産管理業における確定申告では、細かな税務知識が求められることが多いですが、freeeを活用することで専門家レベルの精度で申告書類を作成することができ、税務コンプライアンスと節税の両立が可能になります。
物件管理をfreeeで効率化する方法

不動産管理業を営む方にとって、物件管理は業務の中核を担う重要な部分です。freeeを活用すれば、これまで手作業や別々のソフトで行っていた物件管理業務を一元化し、大幅な効率化が可能になります。本章では、freeeを活用した物件管理の効率化について詳しく解説します。
家賃収入の管理と自動仕訳の設定
不動産管理業の収入源である家賃の管理は、正確さと効率性が求められます。freeeでは、定期的な家賃収入を自動仕訳設定することで、毎月の経理作業を大幅に省力化できます。
まず、freeeの「振替伝票」機能を使って、家賃収入のテンプレートを作成しましょう。例えば「アパートA 101号室 家賃収入」といった形で、物件ごと・部屋ごとに詳細に設定できます。さらに、「取引の自動取込」と「仕訳ルール」を組み合わせることで、銀行口座に入金された家賃を自動的に認識し、適切な科目に計上してくれます。
また、freeeの「定期取引」機能を活用すれば、毎月同じ金額で発生する家賃収入を自動で計上することも可能です。入金予定日や金額を設定しておけば、その通りに仕訳が作成され、実際の入金と照合するだけの作業に簡略化できます。
家賃の滞納管理にも対応
家賃の滞納管理もfreeeで効率化できます。入金予定として登録した家賃と実際の入金状況を比較することで、未入金の物件や部屋を即座に把握できます。「メモ」機能を活用して、入居者とのやりとりや支払い約束日などを記録しておくことで、滞納管理も一元化できるでしょう。
物件ごとの収支管理テクニック
不動産経営で重要なのは、物件ごとの収益性を正確に把握することです。freeeでは「プロジェクト管理」機能を活用することで、物件ごとの収支を明確に区分けして管理できます。
まず、各物件をプロジェクトとして登録します。例えば「アパートA」「マンションB」といった具合です。その上で、それぞれの物件に関連する収入と支出に同じプロジェクトタグを付けていきます。家賃収入はもちろん、修繕費、管理費、ローン返済、保険料など、物件に紐づく支出すべてに適切なプロジェクトタグを付けることがポイントです。
こうすることで、freeeの「プロジェクト別収支」レポートから、物件ごとの月次・年次の収支状況が一目瞭然となります。どの物件が利益を生み出しているか、どの物件の経費が予想以上にかかっているかなど、経営判断に必要な情報が即座に把握できるようになります。
区分所有物件の管理テクニック
マンションの一室など区分所有物件を複数所有している場合は、プロジェクトをさらに細分化することも有効です。例えば「マンションC-101号室」「マンションC-205号室」というように設定すれば、同じ建物内でも部屋ごとの収益性を比較分析できます。
修繕費・減価償却費の正しい計上方法
不動産管理において、修繕費と減価償却費は適切に区分して計上することが重要です。これらをfreeeで正確に処理することで、確定申告の際のミスを防ぎ、適切な節税効果も得られます。
修繕費は、物件の価値を高めるものではなく、原状回復のための支出です。例えば、壁紙の張替え、水回りの修理、設備の交換などがこれに当たります。freeeでは「修繕費」という勘定科目を選択し、どの物件のものかをメモやプロジェクトタグで記録しておくと良いでしょう。
一方、資本的支出(物件の価値を高めたり、耐用年数を延ばしたりする支出)は、減価償却の対象となります。例えば、エアコンの新設、バリアフリー化のためのリフォーム、断熱材の追加などです。これらは「建物附属設備」や「資産除去費用」などの資産科目で計上します。
減価償却費の自動計算
freeeの優れた点として、固定資産の登録を行うと減価償却費が自動計算される機能があります。建物や設備の取得価額、取得日、耐用年数を入力するだけで、毎年の減価償却費が自動的に計算され、仕訳も自動生成されます。複数物件を所有している場合でも、それぞれの減価償却スケジュールを手動で管理する必要がなく、大幅な業務効率化が実現します。
特に、建物と建物附属設備は耐用年数が異なるため、区分して管理することが重要です。freeeでは、それぞれを別の固定資産として登録することで、適切な減価償却費の計算が可能になります。
少額減価償却資産の処理
10万円未満の少額資産は、一括で経費計上することが可能です。freeeでは、これらを「消耗品費」や「事務用品費」などの勘定科目で計上できます。また、10万円以上30万円未満の減価償却資産については、一定の条件下で「一括償却資産」として3年間で均等償却する方法も選択できます。freeeではこうした特例的な処理方法にも対応しており、設定次第で自動的に適切な処理が行われます。
物件管理においてfreeeを活用することで、家賃収入の管理から物件ごとの収支分析、修繕費・減価償却費の処理まで、一元的かつ効率的に行うことが可能になります。日々の取引を適切に記録していくことで、月次・年次の収支状況が自動的に集計され、不動産経営の意思決定をサポートする貴重なデータとなるでしょう。
freeeと連携できる不動産管理アプリ・ツール

不動産管理業務を効率化するには、freeeだけでなく専門的な不動産管理アプリやツールとの連携が重要です。ここでは、freeeと相性の良い不動産管理ツールや連携方法について解説します。
おすすめの物件管理ソフトとの連携方法
freeeは様々な不動産管理ソフトと連携することで、業務効率を大幅に向上させることができます。以下におすすめの物件管理ソフトとその連携方法を紹介します。
1. いえらぶCLOUD
いえらぶCLOUDは物件情報管理から入居者管理まで対応する総合的な不動産管理ソフトです。freeeとの連携では、主に以下の点が便利です:
- 家賃収入データをCSV形式でエクスポートし、freeeにインポート可能
- 物件ごとの収支データを連携させることで、freeeでの会計処理が効率化
- 入居者情報と請求情報の一元管理
連携方法:いえらぶCLOUDから出力したCSVデータをfreeeにインポートする形で連携します。freeeの「一括取引登録」機能を活用すると効率的です。
2. スマサポ
スマサポは中小規模の不動産管理会社に人気のクラウド型管理ソフトです。freeeとの連携ポイントは:
- API連携による家賃入金データの自動同期
- 物件修繕履歴と経費データの連動
- オーナー別収支レポートの作成と会計データ連携
連携方法:スマサポのAPI連携機能を使い、設定画面からfreeeとの連携を有効にします。初期設定後は、日次または月次で自動的にデータが同期されます。
3. 賃貸管理システム「キーパー」
老舗の不動産管理システムであるキーパーもfreeeとの相性が良いツールです:
- 物件収支データの出力とfreeeへの取り込み
- オーナー別精算書データとfreee会計データの連動
- 修繕履歴と経費データの紐づけ
連携方法:キーパーから定期的にデータをエクスポートし、freeeの取引登録画面から取り込みます。仕訳ルールを事前に設定しておくことで、取り込み後の処理を簡略化できます。
入居者管理とfreeeの活用法
不動産管理業において入居者管理は重要な業務の一つです。freeeと入居者管理ツールを組み合わせることで、さらに効率的な業務フローを構築できます。
1. 入居者情報と取引先管理の連携
freeeの取引先機能を活用して入居者情報を管理することで、請求書発行から入金確認までをスムーズに行えます:
- freeeの取引先マスタに入居者情報を登録
- 部屋番号や契約内容をメモ欄に記録
- 入居者ごとの取引履歴を一元管理
2. 入退去管理とfreeeの連携
入退去に伴う経理処理をfreeeで効率化する方法:
- 敷金・礼金の適切な会計処理
- 退去時の原状回復費用の経費計上
- 空室期間の収益分析
3. LINE WORKS連携による入居者コミュニケーション
LINE WORKSとfreeeを連携させることで、入居者とのコミュニケーションと経理業務を効率化できます:
- メッセージでの家賃支払い通知と連動した入金管理
- 修繕依頼の受付から発注、経費計上までの一元管理
- 入居者アンケートと顧客満足度の分析
請求書発行と入金管理の自動化
不動産管理業では定期的な請求業務が発生するため、freeeの請求書機能と外部ツールを組み合わせた自動化が効果的です。
1. freee請求書の活用方法
freeeの請求書機能を最大限に活用するポイント:
- テンプレート機能で家賃請求書を作成し、毎月の作業を効率化
- 定期請求の設定で自動的に請求書を作成
- 郵送代行サービスの利用で発送業務も省力化
- 請求書ステータス管理で未入金フォローを効率化
2. 銀行APIとの連携による入金確認の自動化
freeeは主要銀行とのAPI連携に対応しており、入金確認作業を大幅に効率化できます:
- 口座情報の自動取得による日次での入金確認
- 入金データと請求書の自動紐づけ
- 未入金家賃の視覚的な管理
3. クレジットカード決済システムとの連携
freeeは各種決済サービスとも連携可能で、家賃のクレジットカード払いにも対応できます:
- Square、PayPalなどの決済サービスとの連携
- 決済データの自動取り込みと仕訳
- 決済手数料の適切な経費処理
API連携のメリットとセットアップ方法
freeeとの本格的な連携にはAPI接続が効果的です。以下のポイントに注意してセットアップしましょう:
- freee APIキーの取得と適切な権限設定
- 連携ツール側での認証設定
- データ同期スケジュールの最適化
- エラー通知の設定によるトラブル回避
freeeと外部ツールを連携させることで、不動産管理業務の大幅な効率化が実現します。特に定型業務の自動化により、より価値の高い業務に時間を割けるようになるでしょう。また、データの正確性も向上し、経営判断の精度も高まります。お持ちの物件数や業務フローに合わせて、最適な連携ツールを選びましょう。
不動産管理業特有の経費処理とfreeeでの対応

不動産管理業を営む方にとって、適切な経費処理は収益性を左右する重要な要素です。freeeを活用することで、不動産管理業特有の複雑な経費処理を効率化できます。ここでは、正確な経費計上のポイントから税金の処理方法まで詳しく解説します。
経費計上のポイントと注意点
不動産管理業では、一般的なビジネスとは異なる経費項目があります。freeeではこれらを適切に管理することができます。
まず、仲介手数料や広告宣伝費は重要な経費項目です。freeeでは「販売費及び一般管理費」の中で「広告宣伝費」として計上できます。入居者募集のためのポータルサイト掲載料や不動産情報誌への広告費なども適切に区分して記録しましょう。
管理委託費は、物件の管理を外部に委託している場合に発生する経費です。freeeでは「外注費」または「業務委託費」として計上できます。契約内容に応じて適切な科目を選択しましょう。
修繕費と資本的支出の区別も重要です。freeeでは、日常的な修繕費は「修繕費」として経費計上できますが、資産価値を高める改修は「建物附属設備」などの固定資産として計上し、減価償却を行う必要があります。freeeの固定資産管理機能を使うと、減価償却費の計算も自動で行えます。
修繕費と資本的支出の判断基準
freeeで処理する際の判断基準として、以下の点を確認しましょう:
- 修繕費:原状回復や機能維持のための支出(経費として全額計上可能)
- 資本的支出:耐用年数を延ばしたり価値を高めたりする支出(固定資産として計上し減価償却)
freeeでは、取引入力時に適切な勘定科目を選択することで、正確な経費計上が可能です。迷った場合は、freeeのサポートチャットや連携している税理士に相談することをおすすめします。
消費税の適切な処理方法
不動産管理業における消費税の取り扱いは複雑です。freeeを使って適切に処理しましょう。
住宅の賃貸は非課税取引ですが、駐車場やトランクルームの賃貸、事務所や店舗の賃貸は課税取引となります。freeeでは、取引入力時に課税/非課税を区分して記録できるため、正確な消費税計算が可能です。
freeeの「消費税区分」設定を活用することで、課税取引と非課税取引を明確に分けて管理できます。例えば、アパート経営の場合は「不課税売上」を選択し、事務所賃貸の場合は「課税売上」を選択します。
また、簡易課税制度を選択している場合、不動産業は第6種事業(40%)に分類されますが、物件によって事業区分が異なる場合もあります。freeeでは簡易課税の設定も可能で、適用する事業区分を選択することで正確な税額計算ができます。
消費税の課税事業者判定と設定
freeeでは、基準期間の課税売上高に基づいて課税事業者かどうかの判定も行えます。設定画面で基準期間の売上を入力することで、課税事業者の判定を自動で行い、適切な消費税処理を提案してくれます。
課税事業者の場合、freeeの「消費税申告書」作成機能を活用すれば、複雑な計算も自動で行えます。各取引の消費税区分を正確に設定しておくことが重要です。
固定資産税・都市計画税の管理
不動産管理業では、固定資産税や都市計画税の管理も重要です。freeeを使って効率的に管理しましょう。
固定資産税と都市計画税は、freeeでは「租税公課」として経費計上します。支払いを記録する際は、物件ごとに管理できるよう取引の「メモ」機能などを活用すると便利です。
年4回の分割納付の場合は、freeeの「定期取引」機能を使うことで、支払いスケジュールを自動化できます。支払い時期が来ると自動で仕訳が作成され、支払い忘れを防止できます。
また、預り金として扱う場合(入居者負担分を一時的に預かる場合など)は、freeeで「預り金」として適切に処理できます。後日支払う際も、預り金との相殺処理を簡単に行えます。
物件別の税金管理方法
freeeのタグ機能を活用すると、物件ごとの固定資産税・都市計画税を効率的に管理できます。例えば、物件名をタグとして設定し、支払い時にそのタグを付けることで、後から物件別の税金支出を確認できます。
freeeのレポート機能を使うと、タグごとの支出状況をグラフ化することも可能です。これにより、物件別のコスト分析が容易になり、収益性の低い物件の特定や対策につなげられます。
さらに、固定資産税の支払い証明書などの書類は、freeeの「ファイル添付」機能を使って取引データと一緒に保存しておくと、確定申告時や税務調査の際に便利です。スマートフォンアプリからも写真を撮影して簡単に添付できます。
freeeを活用することで、不動産管理業特有の複雑な経費処理も効率化でき、適切な税務処理が可能になります。特に複数物件を管理している場合は、物件ごとの収支管理と合わせて、適切な経費処理を行うことで経営の透明性が高まります。
freeeを活用した不動産管理業の節税対策

不動産管理業を営む方にとって、節税対策は収益性を高める重要な要素です。freeeを活用することで、税金の適正な処理や節税のポイントを効率的に把握することができます。この章では、freeeを使って実践できる不動産管理業向けの具体的な節税対策について解説します。
freeeで見える化する節税ポイント
freeeの強みは、財務状況の「見える化」にあります。不動産管理業における節税を効果的に行うためには、まず自身の収支状況を正確に把握することが第一歩です。
freeeでは、ダッシュボード機能を活用することで、月ごとの収益と経費のバランスをリアルタイムで確認できます。これにより、年度末に慌てて経費を計上するような非効率な税務処理を避け、計画的な節税対策が可能になります。
具体的には、以下のようなポイントが見える化されます:
- 月別・四半期別の収支バランス
- 経費カテゴリー別の支出状況
- 予想される課税所得と納税額
- 前年度との収支比較
freeeの分析レポート機能を活用することで、どの経費項目が少ないか、追加で計上できる経費がないかなどを確認できます。例えば、修繕費の計上が少ない場合、年内に必要な修繕を前倒しで実施することで、当期の課税所得を適正に調整できます。
経費の適正な計上による節税
freeeでは、以下のような不動産管理業特有の経費を適切に計上することで節税効果を高められます:
- 物件の管理委託費
- 広告宣伝費(入居者募集広告など)
- 保険料(火災保険など)
- 専門家への相談料(税理士、弁護士費用など)
- セミナー参加費(不動産投資や税務に関するもの)
- 通信費(物件管理に関わる通信費)
freeeでは、これらの経費をタグ付け機能で分類することができるため、期末に「計上漏れがないか」を簡単にチェックできます。また、freeeの銀行口座連携機能を使えば、経費の自動取り込みが可能になり、計上漏れを防止できます。
不動産所得と他の所得の損益通算
不動産所得は、給与所得や事業所得など他の所得との損益通算が可能です。これは不動産管理業を行う上で重要な節税ポイントとなります。
freeeを使用することで、不動産所得と他の所得を一元管理し、最適な損益通算の計画を立てることができます。例えば、給与所得がある方が不動産投資を行っている場合、不動産所得で赤字が出れば給与所得と損益通算できるため、所得税・住民税の節税につながります。
損益通算のシミュレーション機能
freeeの「所得税シミュレーション」機能を活用することで、不動産所得と他の所得との損益通算効果を事前に確認することができます。年度途中でシミュレーションを行い、必要に応じて修繕などの経費計上時期を調整することで、税負担を最適化できます。
具体的な損益通算の例としては:
- 給与所得がある方が、不動産所得で赤字を出した場合の税金還付効果
- 複数の物件を所有している場合の、物件間での損益通算
- 不動産所得の赤字と事業所得の黒字との相殺効果
freeeでは、これらのシナリオを数値で具体的に確認できるため、戦略的な不動産経営が可能になります。
長期的な節税計画の立案
freeeの「複数年データ管理」機能を活用すれば、過去の申告データを基に将来の税負担を予測することができます。特に不動産所得は減価償却費の影響で年々変化するため、数年単位での税負担の変化をシミュレーションすることが重要です。
例えば、減価償却費が大きい購入初期は不動産所得が赤字になりやすく、年数経過とともに黒字に転じていくケースが一般的です。freeeを使えば、この変化を可視化し、将来的に税負担が増える時期に備えた対策(修繕計画の策定や新規物件の購入検討など)を事前に立案できます。
将来の税務調査に備えた帳簿づくり
不動産管理業における節税対策は、適正な範囲内で行うことが大前提です。不適切な経費計上などは税務調査のリスクを高めるため、freeeを活用して正確な帳簿づくりを心がけましょう。
freeeには、以下のような税務調査対策に役立つ機能があります:
証憑書類の電子保管機能
freeeでは、領収書やレシートをスマートフォンで撮影し、取引に紐づけて保存できます。これにより、税務調査時に「経費の証拠を示せ」と言われた際にも、すぐに対応することが可能です。特に不動産管理業では、修繕費や広告費など高額な経費が発生することが多いため、証憑書類の管理は重要です。
また、freeeの「取引メモ」機能を活用し、経費の使途や目的を記録しておくことで、後から「なぜこの経費を計上したのか」を説明できるようになります。例えば、「○○物件の入居者募集のための広告費」といった具体的なメモを残しておくことで、税務調査時の説明がスムーズになります。
適正な区分経理の実践
不動産管理業では、私的経費と事業経費の区分が曖昧になりがちです。freeeの「タグ付け」機能や「按分計算」機能を活用することで、例えば自宅兼賃貸物件の場合の経費按分や、事業用と私用で共通して使用する車両費の按分などを明確に記録できます。
特に注意すべき経費区分としては:
- 自宅兼賃貸物件の光熱費・修繕費の按分
- 車両費(ガソリン代、保険料など)の事業使用割合
- 通信費(携帯電話、インターネット)の事業使用割合
- 接待交際費の事業関連性
freeeでは、これらの按分計算をルール化して設定できるため、一貫性のある経費計上が可能になります。一貫性のある経理処理は、税務調査でも高く評価される要素です。
税理士との効率的な連携
freeeの「税理士連携機能」を活用することで、顧問税理士とのスムーズな情報共有が可能になります。税理士から節税アドバイスを受ける際も、freeeのデータを共有することで、より具体的かつ的確な提案を受けられます。
不動産管理業における専門的な税務判断(資本的支出と修繕費の区分、借入金の最適な返済計画など)については、freeeのデータを基に税理士に相談することで、合法的かつ最大限の節税効果を得ることができます。
定期的に税理士とfreeeのデータを共有し、チェックを受けることで、申告ミスを防ぎ、適正な節税対策を実施することができます。freeeの「アクセス権限設定」機能を使えば、税理士に必要な範囲のみのデータ閲覧を許可することも可能です。
不動産管理業における節税対策は、単なる経費計上だけでなく、長期的な視点での資産運用計画と一体となって行うことが重要です。freeeを活用することで、日々の会計処理から確定申告、そして将来の税務計画まで一貫した管理が可能になり、効率的かつ適正な節税が実現できます。
複数物件オーナーのためのfreee活用術

不動産投資で複数の物件を所有しているオーナーにとって、一元管理の重要性は言うまでもありません。freeeはそんな複数物件オーナーの管理業務を大幅に効率化できるツールです。この章では、複数物件を所有する不動産オーナー向けに、freeeを最大限に活用するための具体的な方法をご紹介します。
物件ごとの収益性分析方法
複数の不動産を所有している場合、どの物件がどれだけの利益を生み出しているかを正確に把握することが重要です。freeeを使えば、物件ごとの収益性を可視化することが可能になります。
まず、freeeの「タグ機能」を活用しましょう。各物件に固有のタグを設定することで、取引データを物件ごとに整理できます。例えば「マンションA」「アパートB」「戸建C」などと物件を識別するタグを付けておくことで、後から物件別に収支を抽出することが容易になります。
次に、「プロジェクト機能」も有効活用できます。物件ごとにプロジェクトを作成しておくと、収入や経費をプロジェクト単位で管理できるため、物件ごとの収支がさらに明確になります。
また、freeeの「レポート機能」を使えば、タグやプロジェクトでフィルタリングした損益計算書を簡単に出力できます。これにより、物件ごとの粗利率や経費率などを比較し、どの物件が最も効率よく収益を上げているか、どの物件に改善の余地があるかを分析できます。
活用例:物件別ROI分析
freeeのデータをエクスポートし、各物件の投資利回り(ROI)を計算することも可能です。物件の取得価格に対する年間純利益の割合を算出することで、投資効率の高い物件と低い物件を識別し、将来の投資判断や売却判断の材料にすることができます。
資産管理会社との連携テクニック
複数の物件を所有するオーナーの中には、資産管理会社を設立して運営している方も少なくありません。freeeは個人事業主向けだけでなく法人向けプランも提供しているため、資産管理会社との連携も円滑に行えます。
まず、個人と法人の会計を明確に分離することが重要です。freeeでは個人アカウントと法人アカウントを別々に作成し、それぞれで会計処理を行うことができます。複数のアカウントを切り替えて操作できるため、個人の確定申告と法人の決算書類作成を一つのサービスで完結させることが可能です。
次に、個人と法人間の取引を正確に記録することも重要なポイントです。例えば、個人が所有する物件を資産管理会社に賃貸し、会社がサブリースする形態の場合、両者の間の賃料の支払いや受け取りを明確に記録しておく必要があります。freeeでは、この種の関連当事者間取引も簡単に記録できます。
また、freeeの「取引先」機能を使って資産管理会社を登録しておくと、取引データの入力時に自動で候補が表示されるため、入力ミスを減らすことができます。
税務上のメリット最大化
個人と資産管理会社の間で最適な費用配分を行うことで、税務上のメリットを最大化できます。freeeのレポート機能を活用して両者の収支バランスを確認し、税理士と相談しながら最適な戦略を立てましょう。資産管理会社が負担する経費と個人が負担する経費の配分を適切に設計することで、全体としての税負担を軽減できる可能性があります。
事業規模拡大時のfreee運用ヒント
不動産投資を拡大し、保有物件数が増えていくと、会計処理もより複雑になっていきます。freeeを効果的に活用することで、事業規模が拡大しても管理業務の負担を最小限に抑えることができます。
まず、勘定科目の細分化を検討しましょう。例えば「修繕費」という大きな括りではなく、「設備修繕費」「内装修繕費」「外装修繕費」など、より詳細に分けることで、どのような修繕にコストがかかっているのかが明確になります。freeeでは補助科目やメモ機能を使って、こうした細かい分類を行うことができます。
次に、仕訳ルールの活用が効率化の鍵となります。同じような取引が繰り返し発生する場合、freeeの仕訳ルール機能を使って自動化しておくと、入力作業が大幅に削減できます。例えば、特定の管理会社からの振込は常に「家賃収入」として計上するといったルールを設定できます。
さらに、freeeのAPI連携機能を活用すれば、専門の不動産管理ソフトとデータ連携することも可能です。物件数が多くなると専用の管理ソフトの導入を検討する場合もありますが、freeeとの連携により、会計データの二重入力を避けることができます。
スケーラブルな会計体制の構築
事業規模の拡大を見据えて、早い段階から効率的な会計プロセスを確立しておくことが重要です。freeeのワークフロー機能を活用して、経費申請や承認フローを設計しておくと、将来的に従業員や協力者が増えた場合でもスムーズに対応できます。
また、複数の物件を管理する際の現金フロー管理も重要です。freeeの資金繰り表機能を活用して、将来の家賃収入や固定費の支払いを予測し、資金ショートを防ぐ計画を立てましょう。特に、複数物件の修繕や設備更新が重なると大きな出費となるため、計画的な資金管理がより一層重要になります。
最後に、freeeの「レポート共有機能」を活用して、税理士や不動産管理会社とのコミュニケーションを円滑にすることも、規模拡大時の重要なポイントです。適切なアクセス権限を設定してデータを共有することで、専門家からのアドバイスを受けやすくなり、より戦略的な物件運営が可能になります。
freeeの不動産管理業向け機能の設定方法

不動産管理業務をfreeeで効率的に行うためには、適切な初期設定と機能のカスタマイズが不可欠です。この章では、freeeを不動産管理業に最適化するための具体的な設定方法について解説します。
初期設定と勘定科目のカスタマイズポイント
freeeで不動産管理業務を始める際、まずは基本的な初期設定から行いましょう。事業形態(個人事業主か法人か)を選択し、事業内容として「不動産賃貸業」を設定することで、関連する勘定科目が自動的に表示されるようになります。
不動産管理業特有の勘定科目として、以下のものを追加・カスタマイズしておくと便利です:
- 「家賃収入」:物件ごとに分けたい場合は、「家賃収入(A物件)」のように設定
- 「管理費収入」:管理費を別途徴収している場合
- 「更新料収入」:契約更新時の収入
- 「修繕費」:物件ごとに分けることも可能
- 「仲介手数料」:新規契約時の支出
- 「清掃費」:退去後の清掃費用
- 「固定資産税」:物件にかかる税金
また、物件ごとの収支を明確にするために、「部門」機能を活用しましょう。各物件を部門として設定すれば、物件別の収支レポートが簡単に作成できます。これは特にスタンダードプラン以上で利用可能な機能です。
取引の自動取込と仕訳ルールの作成
freeeの大きな特徴である銀行口座やクレジットカードとの連携機能を活用することで、不動産管理業の取引を自動的に取り込むことができます。特に毎月定期的に発生する家賃収入や管理費の支払いなどは、自動取込と組み合わせて仕訳ルールを設定しておくと業務効率が大幅に向上します。
効率的な仕訳ルールの作成ポイント:
- 家賃収入の自動仕訳:「取引内容に『XX不動産 家賃』を含む場合」のように条件を設定し、「家賃収入」勘定科目に自動的に振り分ける
- 物件ごとの管理:取引の説明欄に物件名を入れるルールを作り、後から物件別の集計がしやすいようにする
- 定期的な支出の自動化:管理委託費や保険料など定期的な支出も同様にルール化
- 修繕費の区分:少額の修繕と資本的支出(減価償却が必要なもの)を区別するためのルール設定
仕訳ルールは一度設定すれば、次回から同様の取引が発生した際に自動的に適用されるため、月末や年度末の経理作業の負担が大幅に軽減されます。
レポート機能を活用した経営分析
freeeでは、入力したデータを基に様々な経営分析レポートを自動生成できます。不動産管理業に特に役立つレポート機能として以下のものがあります:
損益計算書(P/L)の活用
損益計算書を物件ごとに作成することで、各物件の収益性を一目で確認できます。「部門」機能を使って物件ごとにデータを分けておくと、クリック一つで物件別のP/Lが表示されます。特に注目すべき指標は以下の通りです:
- 売上総利益率:家賃収入から直接原価(管理費、修繕費など)を引いた利益率
- 営業利益率:広告費や保険料など間接費を含めた後の利益率
- 経費率:売上に対する経費の割合(低いほど効率的)
キャッシュフロー分析
不動産管理業は定期的な収入がある一方で、突発的な修繕費などの支出も発生します。freeeのキャッシュフロー分析機能を使うことで、将来の資金繰りを予測し、計画的な物件管理が可能になります。
特に設定しておきたい項目:
- 定期的な家賃収入:毎月の安定収入として計上
- 季節的な支出:冬季の暖房設備点検や夏季の冷房設備メンテナンスなど
- 数年おきの大規模修繕:外壁塗装や屋根修理など
物件収益性レポートの作成
freeeのエクスポート機能を活用すれば、データをCSV形式で出力し、Excelなどで独自の物件収益性レポートを作成することも可能です。例えば以下のような指標を計算して物件評価に役立てましょう:
- 表面利回り:年間家賃収入÷物件取得価格
- 実質利回り:(年間家賃収入-経費)÷物件取得価格
- ROI(投資収益率):年間純利益÷総投資額
- 空室率:空室期間÷総賃貸可能期間
これらのレポートを定期的にチェックすることで、収益性の低い物件の早期発見や、効果的な投資判断が可能になります。freeeの分析機能をフル活用することで、単なる会計処理だけでなく、不動産投資の戦略的な意思決定にも役立てることができるでしょう。
不動産管理業におけるfreee活用の成功事例

不動産管理業界では、多くのオーナーや管理会社がfreeeを導入し、業務効率化や経営改善を実現しています。この章では、具体的な成功事例を通じて、freeeがどのように不動産管理業の現場で活用され、どのような成果を上げているのかを紹介します。
個人オーナーの業務効率化事例
東京都内で5棟のアパートを所有する田中さん(45歳)は、以前は家賃収入や経費の管理をExcelで行い、確定申告期には数日がかりで書類を作成していました。freeeを導入後、大きく3つの変化がありました。
まず、銀行口座との連携により家賃入金の確認作業が自動化され、月に約5時間の作業時間が削減されました。次に、物件ごとの収支管理が可視化されたことで、修繕が必要な物件の優先順位付けが容易になりました。そして最も大きな変化は、確定申告準備の時間が従来の3分の1に短縮されたことです。
「特に便利なのは、スマホで撮影した修繕費の領収書が自動で仕訳されること。物件ごとの収益性が一目でわかるようになり、次の投資判断にも役立っています」と田中さんは語ります。
導入後の具体的な改善点
・月次の経理作業時間:15時間→3時間に削減
・確定申告準備期間:2週間→3日に短縮
・書類の紛失や入力ミス:年間約10件→ほぼゼロに改善
中規模不動産管理会社の導入効果
神奈川県で100戸以上の賃貸物件を管理する「みなと不動産管理株式会社」では、2019年にfreeeを全社導入しました。それまでは専用の不動産管理ソフトと会計ソフトを別々に運用し、データの二重入力や照合作業に多くの人的リソースを割いていました。
freeeの導入により、APIを通じて物件管理ソフトとのデータ連携が実現。経理担当者2名の業務量が約40%削減され、そのリソースを入居者サービスの向上に振り向けることができました。
同社の経理部長は「クラウド化により、コロナ禍でのリモートワークへの移行がスムーズでした。また、オーナーへの月次報告資料も自動生成できるようになり、報告の質と速度が向上しました」と評価しています。
実際の数字では、月次決算の締め作業が従来の5営業日から2営業日に短縮され、年間約120万円の人件費削減につながりました。さらに、正確な収支分析により、収益性の低い物件の特定と改善策実施が進み、全体の利益率が5%向上しています。
システム連携による業務改革
・家賃入金確認と会計システムの連携による二重作業の解消
・物件ごとの修繕履歴と費用の一元管理による意思決定の迅速化
・レポート自動化による月次オーナーレポート作成時間の75%削減
税理士との連携によるメリット
大阪で不動産経営を行う山田不動産オーナーズクラブ(15名のオーナーグループ)では、メンバー全員がfreeeを導入し、同じ税理士事務所と顧問契約を結んでいます。freeeの「アドバイザー招待機能」を活用することで、税理士がリアルタイムで各オーナーの経営状況を確認できる環境を構築しました。
「以前は確定申告の時期になると、資料を持って税理士事務所に何度も足を運ぶ必要がありました。freeeなら事前に税理士がデータをチェックできるため、最終確認の1回だけの訪問で済むようになりました」とグループ代表の山田氏は話します。
また、税理士からの専門的なアドバイスも適時に受けられるようになり、各オーナーの節税効果は平均で年間約15%向上しました。具体的には、修繕費と資本的支出の区分けや、青色申告特別控除の適用要件の徹底など、的確な税務アドバイスが寄与しています。
税理士連携の具体的効果
・税理士とのやり取りにかかる時間:月平均5時間→1時間に削減
・確定申告時の修正作業:平均10箇所→2箇所以下に減少
・メンバー間での優良事例の共有により、全体の経営効率が向上
これらの事例からわかるように、freeeは不動産管理業において、単なる会計ソフトとしてだけでなく、業務全体の効率化や経営判断の質向上、専門家との連携強化などの多面的な効果をもたらしています。次の見出しでは、freeeを使用する際によくある質問とその解決策について解説します。
freeeを使う際によくある質問と解決策

freeeを不動産管理業で活用する際、特有の疑問や課題が生じることがあります。この章では、多くのユーザーから寄せられる質問とその解決策について解説します。実務に役立つ知識を身につけて、freeeをより効果的に活用しましょう。
不動産管理業特有の仕訳での悩み
不動産管理業では、一般的なビジネスとは異なる独特の仕訳処理が必要になることがあります。ここでは、よくある仕訳の悩みとその解決策を紹介します。
まず多いのが「家賃収入の計上タイミング」についての疑問です。家賃収入は、実際に入金があった時点(現金主義)ではなく、その家賃が発生した期間(発生主義)で計上するのが原則です。freeeでは取引登録時に「売上計上日」を設定することで、正確な期間での収益計上が可能です。
次に「共益費・駐車場代などの区分」についても多くの質問が寄せられます。これらは家賃とは別の勘定科目で管理したほうが収支分析に便利です。freeeでは自由に勘定科目を追加できるため、「家賃収入」「共益費収入」「駐車場収入」などと分けて設定することをおすすめします。
また「敷金・礼金の処理」も悩みどころです。敷金は預り金として負債に計上し、退去時に返還するか精算します。礼金は受け取った時点で収入計上するのが一般的です。freeeでは「預り金」「前受金」などの勘定科目を使い分けることで適切に管理できます。
「修繕費と資本的支出の区別」も悩む方が多いポイントです。小規模な修繕は「修繕費」として経費計上できますが、大規模な改修は「資本的支出」として減価償却が必要です。freeeでは取引登録時に適切な勘定科目を選択し、資本的支出の場合は固定資産登録を行うことで正確に処理できます。
確定申告時のチェックポイント
不動産所得の確定申告時には、特有のチェックポイントがあります。freeeを使用していても最終確認は必須です。
まず「収入の計上漏れ」がないか確認しましょう。特に12月分の家賃が翌年1月に入金された場合など、年をまたぐケースで計上漏れが発生しやすいです。freeeの「収益レポート」と実際の入金記録を照合することで、見落としを防げます。
「減価償却費の計算」も重要なチェックポイントです。建物や設備の減価償却は正確に行わないと、税務調査で指摘される可能性があります。freeeの固定資産管理機能を使えば自動計算されますが、新規購入資産の登録漏れがないか確認しましょう。
「按分経費の処理」も確認が必要です。自宅の一部を賃貸に出している場合など、経費を按分する必要があるケースでは、按分割合の根拠を明確にしておくことが重要です。freeeではメモ機能などを活用して按分根拠を記録しておくと安心です。
「青色申告特別控除の要件」も満たしているか確認しましょう。最大65万円の控除を受けるためには、複式簿記による記帳と電子申告などの条件があります。freeeを正しく活用していれば要件を満たせますが、設定や操作に不安がある場合はfreeeのサポートに問い合わせることをおすすめします。
最後に「消費税の課税判定」も重要です。不動産収入が1,000万円を超えると原則として消費税の課税事業者となります。freeeの消費税設定が正しいか、また非課税取引(住宅家賃など)と課税取引(事務所賃料など)の区分けが適切か確認しましょう。
freeeサポートの上手な活用法
freeeには様々なサポート体制が整っていますが、不動産管理業特有の疑問に対して最適な解決策を得るにはコツがあります。
まず「ヘルプセンター」の活用方法です。freeeのヘルプセンターには豊富な記事が用意されており、「不動産」「家賃収入」などのキーワードで検索すると業種特有の情報が見つかります。特に「業種別ガイド」セクションには不動産オーナー向けのガイドが掲載されているので、一読しておくと良いでしょう。
「チャットサポート」の効果的な使い方も把握しておきましょう。質問する際は具体的な状況(例:「アパート5棟所有の個人オーナーです」など)を伝えると、より的確な回答が得られます。スクリーンショットを添付できる機能も活用すると、問題の説明がスムーズになります。
「freeeコミュニティ」も貴重な情報源です。同じ不動産管理業の方々が投稿する質問や回答には実践的なヒントが満載です。「不動産」「アパート」などのキーワードで過去の投稿を検索してみましょう。また、自分の疑問を投稿すれば、同業者やfreeeのエキスパートからアドバイスが得られる可能性があります。
「セミナー・ウェビナー」への参加も検討しましょう。freeeでは定期的に業種別のウェビナーを開催しており、不動産オーナー向けの内容も提供されています。実際の操作画面を見ながら学べるため、理解が深まります。過去の録画版も公開されていることがあるので、freeeのイベントページをチェックしてみてください。
「税理士との連携」もサポート活用の一環です。freeeは多くの税理士と連携しており、不動産管理業に詳しい税理士を紹介してもらうこともできます。freeeの「認定アドバイザー」から不動産分野に強い専門家を探すと、ソフト操作と税務の両面でサポートを受けられます。
よくある具体的な質問例と回答
ここでは、freeeユーザーから実際に寄せられる不動産管理業特有の質問とその回答例をいくつか紹介します。
Q: 「複数の物件を管理していますが、物件ごとの収支を簡単に確認する方法はありますか?」
A: freeeの「タグ機能」を活用しましょう。各物件名でタグを作成し、関連する取引すべてにそのタグを付けることで、タグ別の収支レポートが作成できます。「レポート」画面から「タグ別」を選択すると、物件ごとの収支が一目瞭然になります。
Q: 「大規模修繕を行いましたが、修繕費と資本的支出の判断に迷っています。freeeではどう処理すべきですか?」
A: 一般的に30万円未満の小規模な修繕は「修繕費」として経費計上でき、建物の価値を高める大規模な工事は「資本的支出」として減価償却します。freeeでは資本的支出の場合、取引登録後に「固定資産」メニューから該当資産の取得価額に加算する処理を行えます。判断に迷う場合は、freeeの「認定アドバイザー」である税理士に相談することをおすすめします。
Q: 「入居者からの家賃の入金確認とfreeeへの登録を自動化したいです。可能ですか?」
A: freeeの「銀行明細自動取得」機能を活用すれば、家賃の入金を自動で取り込めます。さらに「自動仕訳ルール」を設定することで、特定の入居者からの入金を自動的に適切な勘定科目とタグで仕訳できます。また、freeeと連携可能な不動産管理ソフトを併用すれば、さらに効率化できる場合もあります。
Q: 「アパートの一室に管理人室として自分が住んでいます。この部屋の経費はfreeeでどう処理すべきですか?」
A: 管理人室として使用している部屋の経費は、事業用として全額経費計上できる場合があります。freeeでは取引登録時に「地代家賃」などの適切な勘定科目を選択し、メモ欄に「管理人室用」と記録しておくと良いでしょう。ただし、私的利用の側面もある場合は按分が必要なので、税理士に相談することをおすすめします。
不動産管理業でfreeeを活用する際には、業種特有の処理方法を理解し、適切なサポートを活用することが重要です。わからないことがあれば一人で抱え込まず、freeeの多様なサポートチャネルを積極的に活用しましょう。
まとめ

本記事では、不動産管理業におけるfreee活用術について詳しく解説しました。freeeは確定申告の効率化から物件ごとの収支管理、家賃収入の自動仕訳まで、不動産管理業に関わる多くの業務を効率化できることが分かりました。特に青色申告特別控除の最大活用や、物件ごとの収益性分析、税務調査に備えた正確な帳簿づくりなど、freeeの機能を活用することで、時間削減と同時に節税効果も期待できます。また、他の物件管理ソフトとの連携により、さらなる業務効率化が可能です。不動産管理業という特殊な業種においても、クラウド会計ソフトfreeeを活用することで、経営の見える化と業務効率化を同時に実現できるでしょう。